種麹とは

一般に麹菌の種(胞子)のことをいい、醸造産業用に生産されたもの(麹スターターとも呼ばれる)のほかに、かびが造る酵素や抗生物質の製造用種菌を指すこともあります。
かびは黴菌(バイキン)などと呼ばれ悪いイメージが強いのですが、我々日本人は、古来より麹菌の優れた性質に着目し、伝統的発酵食品である日本酒・本格焼酎・みりん・味噌・醤油・酢・甘酒などの製造に利用してきました。これらの発酵食品が、永年日本人の食生活に非常に深い関わりを持ち、長寿国日本の食生活の基礎を形成していることが、世界的にも高い評価を受けていることなどから、近年、麹菌のことを“国菌”と呼ぶことが提唱されています。
また、麹菌は、米国食品医薬局 (FDA) でも GRAS( Generally Recognized As Safe) とその安全性が認められており、大量の有用物質を生産させるための宿主菌としても注目されています。

種麹の歴史

醗酵食品の歴史は古いのですが、我が社のように種麹の製造および販売を独立して行うようになったのは、明治に入ってからでありその歴史は意外に浅いのです。それまでは、麹は、麹衆と呼ばれる者達が製造・販売を独占しており、麹は売っていたが種麹としては販売しておらず、種麹は彼ら秘蔵のものであったであろうと考えられています。
その製造方法については、初めは自然界にいる菌が原料に付着し麹になったもののなかで出来の良かったものを残しておき、次にそれを種として使うといった友 ( 共 ) 種法であったと考えられていますが、現在ではその優良種を純粋に培養する技術が確立されています。

麹とは

原料となる穀物(米・麦・豆など)に水分を与え、蒸したものに種麹を撒き麹菌の増殖に適した温度条件下で培養したものです。麹は、酵素の宝庫と言われるほど多種多量の酵素を持っており、その力で穀物を分解します。また、麹自身は、麹菌によって造られた糖,アミノ酸,ビタミン,ミネラルなどがぎっしり詰まった栄養豊富な食べ物でもあるのです。
麹を造ることを製麹(せいきく)といい、原料・種麹・環境などの違いによって出来上がる麹の品質が異なるため、酒,味噌,醤油の多様化となり我々の舌を楽しませてくれるのです。

 

麹 菌 に 関 す る 豆 知 識

麹菌はアスペルギルス属 ( Aspergillus ) に分類されるかびの仲間です。植物と違い光合成を行わず、幅 10 〜 30 μmの糸状に枝分かれした多細胞からなることから糸状菌とも呼ばれています。
植物学的分類からすると、 Aspergillus 属の麹菌は菌類植物門に相当し、有性生殖を行わず無性生殖(雌雄の区別がない)で無性胞子(分生胞子)をつくって繁殖する不完全菌類に属します。
胞子の大きさは、 5 〜 10 μm (1μmは、1mm の 1000 分の 1) と顕微鏡でないと見えないくらい小さく、その重さは、約 100 億個で乾燥胞子 1g と非常に軽いものです。
ちなみに、酵母は単細胞で生育する球形または楕円径の微生物であり、おいしい日本酒や本格焼酎は、麹菌と酵母の協同作業によってできる日本独自のアルコール飲料なのです。
Aspergillus
という言葉は、ラテン語の Aspera 「粗の」と Gillus 「ハヤブサの尾羽」を語源としており、また、麹菌の胞子が外生している形が、 Aspergillum というカトリック教のかんすい器(小穴のあいた球形の容器)で聖水を注ぎかける様子に似ていることからつけられたともいわれています。

醸造業界では、種麹のことを“もやし”と呼んでいます。麹菌が芽を出し白っぽい菌糸が伸びていく姿は、まさに食べる「もやし」そのものであり、木々が芽吹く姿にも似ていることから、その時使われる「萌える」という言葉を語源としてモヤス(シ)になったとも言われています。(これを知っている人はなかなかの通ですよ!)

 
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